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DOG BITE DOG-狗咬狗-

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これは香港ノワールというカテゴリーなのだろうか。
そんなスタイリッシュなくくりの中に入れられるものだろうか。


エディソン演じる殺し屋は生きるために人を殺す。
殺し屋という”職業”ではなくて、もっと本能的なことに基づいている。
ごはんを食べるために殺すというような。
彼はそうやって育てられてきた。
自分が生きるためには他人を殺せと教えられてきた。
それだけが彼の中にあるもの。


彼が人を撃ち、殴り、刺す姿はとても悲しい。
そこには一切のためらいもなく、かけ引きもない。
それ以外の方法は知らないからそうする。



彼が冷酷だから人の命を奪うのではなくて、それが彼の”生きる”ということ。




そんな彼なのに、逃亡中に出会い、一緒に逃げることになった少女の手は離さない。
なにがあっても彼女を捨てることはない。
怪我をした彼女は明らかに足手まといのはずなのに、決して決して彼女の手を離さない。


プラトンが言ったんだったか、
人の魂ははじめひとつの球体で、生まれるときに二つに分かれるのだと。
男と男、女と女、女と男。

人はその片割れを探すのだそうだ。


彼と彼女はきっと別れ別れになった魂なんだろう。
愛なんて言葉はひどく安っぽく聞こえる。




ラスト。

仲間を殺され、父親を失い、復讐に燃える刑事ワイが
彼を追い詰め、身ごもっている彼女の首筋にナイフを突きつけたとき。


彼は彼女を助けるために土下座して懇願し、自分で自分の首をナイフで切ろうとする。


彼女は

彼は私を自由にしてくれた。
私がいなければ彼は自由になれる。

そういって、突きつけられたナイフに自ら身を投げ出す。




映画ではこんなシーンいくらでもあるかもしれない。
過去に見たことだってがあるかもしれない。

なのに、すごく胸を打たれて涙が出た。


それが本当に純粋な感情だったから、だと思う。





こういう映画は香港映画でしかありえないんじゃないか。
血みどろで悲しい、そんな映画は香港でしか作れない気がする。


悲しいからもう二度と見ないけど、いい映画だったな。
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by komilikeyou | 2008-06-22 19:40 | 映画